年収3000万円の手取りは約1800万円|生活水準などデータをもとに実態を調査

AIの発展によって数年後には消える職種が多いといわれる中、令和に入ってから特定の人材に対して高年収を提示する企業が増えています。

たとえばNTTドコモはビッグデータ解析や決済サービス開発などの分野で高度な専門性をもつ人材に、最高で年収3000万円を提示するとし、ファーストリテイリングは優秀な若手人材の確保に向けて人事制度を見直し、子会社の幹部に抜擢された場合には欧米勤務で最大3000万円の年収になるとしています。

年収3000万円と聞いても、あまりに高い年収がゆえにピンとこないかたも多いのではないでしょうか。年収3000万円だと実際に使える手取りのお金はいくらになるのか、どんな生活ができるのか、年収3000万円稼げる仕事には何があるのか……。

今回は年収3000万円に着目し、各種データを参考にしながらその実態に迫ってみましょう。

年収3000万円の手取りは1800万円前後

年収3000万円の人の手取りはおおむね年収の6割、つまり1800万円前後になると推測されます。年収に対する手取りの割合は扶養人数や住宅ローンの有無、会社員か自営業かなどによって変わるため一律ではありません。

一般的な会社員の場合は年収の8割程度が手取りになるケースが多くなっています。

(1)収入と所得の違い         

年収の3000万円と手取りの1800万円という金額には大きな違いがあるため不思議に感じる方がいるかもしれません。まずは収入と所得の違いを押さえておきましょう。

収入とは、会社員の場合は給与やボーナスの合計を、自営業者であれば年商や総売上などを指すものです。所得とは、収入から必要経費を差し引いたものです。必要経費というのは、会社員の場合は給与所得控除を指し、自営業者の場合は店舗の家賃や食材の仕入れなど諸々の費用があたります。

(2)年収から引かれるもの

では所得が手取りになるのかというと、そうではありません。手取りは年収から次のようなものを差し引いた、「実際に使えるお金」です。

(2-1)税金

税金は所得税と住民税です(会社員の場合)。所得税は個人のその年の所得に対してかかる税金です。所得から所得控除額を差し引いた課税所得に税率をかけて所得税額を算出します。日本では累進課税を採用しているため、年収が高い人ほど多くの所得税を納めていることになります。

所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

参考:国税庁

年収3000万円の人の課税所得はおおむね2500万円程度となり、税率は40%です。ここから控除額、2,796,000円があるため、所得税の額はおよそ750万円です。

住民税は都道府県民税と市町村民税の総称です。個人の前年の所得に応じる所得割や住んでいる自治体によって一律に課税される均等割などを基準に算出します。所得割は10%なので、単純に所得割だけで考えると住民税の額はおよそ250万円です。

(2-2)社会保険料

会社員の社会保険料は健康保険料・厚生年金保険料・介護保険料(40歳以上)を指し、大枠では雇用保険料(労働保険料)も含まれます。自営業者の場合は国民健康保険料・介護保険料・国民年金の保険料を指します。

社会保険料の金額は収入額やボーナスの有無、地域などに応じて変わります(国民年金の保険料は一律)。ただし社会保険料には上限があります(雇用保険料除く)。

年収3000万円の人が仮に40歳未満の会社員(ボーナス無、協会けんぽ・東京)だとすると、健康保険料約82万・厚生年金保険料約68万です。加えて雇用保険料が引かれます。かなりざっくりした計算ですが、さきほどの税金とあわせて約1200万円が年収から引かれていることになります。

参照:協会けんぽ|令和2年3月分(4月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表

(2-3)高年収だと必要経費が多いことも

税金や社会保険料とは別に、高年収のかたは収入を維持するためにさまざまな費用がかかることがあります。たとえば人脈を広げるための交際費や、取引先に好印象を与えるために質の高いスーツや靴などを購入する費用などです。

子どもにも高年収になってもらいたいと教育費にお金をかけやすいのも高年収のかたに見られる傾向です。こうした費用を年収維持のための必要経費だと位置づければ、実際に使えるお金は思っているよりは少ないといえるかもしれません。

(3)年収3000万円の人の手取り給与・ボーナスは?

年収3000万円(手取り1800万円)で給与のみだった場合、単純に12ヶ月で割ると毎月の手取り給与は150万円です。

ボーナスの有無は社会保険料に影響するため手取りが変わりますが、ここでは社会保険料等を考慮せず単純計算してみます。大手企業のボーナスは2~2.5ヶ月分が目安とされています

手取りボーナスが350万円あったと仮定すると、手取り給与は月120万円ほどです。

年収3000万円はどれくらい高収入なのか

年収3000万円と聞くと漠然と「高収入」と思うかたが大半でしょうが、実際にどれくらい高収入なのかを探ってみましょう。

(1)会社員の平均年収・手取り

「民間給与実態統計調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与(給与・手当・賞与の合計かつ給与所得控除前の収入)は年間441万円です。性別で見ると男性545万円、女性293万円です。手取り平均は大体350万円ほどになると予想されます。

年収3000万円の手取りは約1800万円なので、会社員の平均と比較すると約5倍の手取りがあることになります。

もっとも、これは1人あたりの平均です。同じくらいの年収の夫婦が共働きしていれば世帯の手取りは700万円、さらに社会人の子ども2人と同居している場合には世帯の手取りは1400万円です。

参考:平成30年分 民間給与実態統計調査 調査結果の概要

(2)年収3000万円稼ぐ人の割合

上記と同じ資料で「給与階級別分布」を確認すると、区分が2500万円を超える人の全体に対する割合はわずか0.3%です(男性は0.5%、女性は0.1%)。同資料の給与所得者数は5026万人なので、そのうち約15万人が年収2500万円以上ということになります。15万人と聞くと多いような気がするかもしれませんが、0.3%で考えると1000人のうち3人しかいないことになります。年収3000万円以上に限定すればさらに少なくなるので、極めて少ない割合だとわかるでしょう。

※参照:e-Stat|平成30年分 民間給与実態統計調査 調査結果の概要

(3)年収3000万円稼ぐと富裕層?

なにをもって富裕層といえるのかに明確な基準はないので、人によっては「年収3000万円もあれば富裕層だろう」と考えることがあるでしょう。調査会社によっても富裕層の定義は変わってきますが、ここでは野村総合研究所の定義にあてはめて考えてみます。

野村総合研究所では、世帯の純金融資産保有額に応じて、1億円以上5億円未満を「富裕層」、5億円以上は「超富裕層」としています。

この定義によれば、単純な稼ぎではなく資産額によって考える必要があります。そのため年収3000万円の人でも貯金やそのほかの金融資産がまったくないのであれば富裕層とはいえません。反対に年収が3000万円ない人でも、コツコツと金融資産を積み重ねていれば富裕層になれる可能性があるといえます。

※参照:野村総合研究所|ニュースリリース

年収3000万円の人の生活水準は?

年収3000万円(手取り1800万円)の人はどのような生活をしているのでしょうか。あくまでも予想に過ぎませんが、手取りに対する適正割合から探ってみましょう。

適正割合は収入や家族構成、居住地などによって大きく変わるため正解はありません。一般的な目安とされる割合をもとに考えています。

(1)住居費

住居費は住宅の購入費や家賃などを指します。親と同居している場合を除き、ほとんどのケースで必要になる費用です。手取りに対して約25%が適正割合です。

年収3000万円(手取り1800万円)の場合にあてはめると、住居費は年間で450万円、月間で37万5000円が適正です。さきほど会社員の平均年収が441万円だとお伝えしましたが、これは年収3000万円の人の住居費に相当する金額になります。

また単純に考えたときには、年450万円の住宅ローンを30年で組んだ場合には約1億3500万円の価値のある家・土地を手に入れられる計算になります。

(2)食費

食費の適正割合は15%です。手取り1800万円の人は年間で270万円、毎月22万5000円を食費にあてられることになります。これだけあれば外食したり高級食材を購入したりといったことは余裕をもってできるでしょう。

なお、2人以上世帯が1ヶ月に食料にかける金額は、全国平均で約7万5000円です。毎月22万5000円というのは、この3倍にあたる数字になります。

※参照:家計調査1-1 二人以上の世帯・勤労者世帯・無職世帯

(3)お小遣い

お小遣いは主に既婚者に関係する話ですが、適正割合は10%~12%といわれています。手取り1800万円の人は年間で180万~216万円月間で15万円~18万円です。この金額になるともはやお小遣いとはいえないレベルですね。

一般的な会社員とも比較してみます。新生銀行がおこなった「2019年サラリーマンのお小遣い調査」によれば、男性会社員の平均お小遣いは3万6747円、女性会社員の平均お小遣いは3万3269円です。1979年の調査開始以降、男性は過去2番目に低い額、女性は過去もっとも低い額になっています。

※参照:新生銀行|ニュースリリース

年収3000万円を稼ぐ仕事って何?       

ここからは、年収3000万円を稼ぐ仕事について見てみましょう。年収3000万円を目指すにはどんな仕事を選べばよいのでしょうか。

(1)一般に高年収だといわれる職業と年収

まずは一般に高年収だといわれやすい職業を挙げます。かっこ内は職業ごとの平均年収です。※10人以上規模きまって支給する現金給与額の12ヵ月分と年間賞与その他特別給与額の合計で算出しています。

  1. 医師(1161万円)
  2. 大学教授(1081万円)
  3. 公認会計士・税理士(891万円)
  4. 弁護士(765万円)
  5. 一級建築士(721万円)
  6. 不動産鑑定士(644万円)
  7. システムエンジニア(551万円)

※参照:e-Stat平成30年賃金構造基本統計調査|職種別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額

年収はあくまでも平均なので人によって異なることはいうまでもありません。また上記の職業は国家資格等を活かして開業できるため、自らが経営者となる場合と雇われる場合とでは大きく年収が変わってきます。

当然、これらの職業で3000万円以上を稼ぐかたはいるでしょう。ただ、一般的にいわれる高年収職業でも年収3000万円を稼ぐのは難しいことがわかります。

(2)年収3000万円を稼げる可能性がある職業         

年収3000万円を稼ぐ職業にはどんなものがあるのでしょうか。たとえば次のような職業が考えられます。

  1. 会社経営者
  2. 上場企業の役員
  3. 芸能人
  4. プロスポーツ選手
  5. 投資家

いずれも極めて高い能力や個性が求められる職業です。

(3)会社員が年収3000万円稼ぐには

経営者や個人事業主はともかくとして、一般的な会社員で年収3000万円を稼ぐのはかなり難しいといえます。ただ会社員でも年収3000万円を稼ぐ人はいます。

会社員の収入だけで年収3000万円に到達するには、最低条件として3つをクリアする必要があります。1つ目は成果を挙げ続けること、2つ目は業績のよい企業に勤めること、3つ目は給与額に上限のない給与体系が採用されていることです。

3つの条件を満たしたときにはじめて、年収3000万円の可能性が生まれるでしょう。

コンサルタント職

たとえば成果が報酬に反映される職種の代表格は営業職・販売職、コンサルタント職です。これらの職種は給与の全部または一部が歩合給であることが多いため、成果に応じて年収を上げられる可能性が高いでしょう。とくに自動車や不動産、金融などを扱う営業は単価が高いため歩合も高額になるケースが少なくありません。コンサルタント職も大企業などを相手にして稼いでいる人がいる職種です。

外資系企業

外資系企業で働くのもひとつの方法です。年功序列的な給与体系を採用する国内企業では年収を上げるにしても限界がありますが、成果報酬主義を採る外資系企業であれば年収が上がる可能性があるからです。

高年収に期待できる外資系の業種としては、証券会社や製薬会社、医療機器メーカーなどが挙げられます。

投資

会社からの給与だけで年収3000万円が無理でも、副業や投資をあわせて年収3000万円を目指す方法があります。とくに近年は副業解禁の会社も増えているため、副業とあわせて年収3000万円へ到達するほうが現実的といえるかもしれません。

年収1,000万円以上の高年収の求人を探せる転職エージェント

年収3000万円は難しいとしても、今より年収を上げたいという希望をもつかたは多いでしょう。今の会社で年収を上げるには、役職を目指すか歩合給の職種へ転換するかが主な選択肢です。しかし役職者の枠は限られており、職種転換しても自分にあった仕事かわからないため、確実に年収が上がるわけではありません。

年収を上げるには転職が効果的です。同じ経験や能力でも、評価する会社が変わるだけでまったく違う年収を提示されるからです。とくに高年収の求人を扱う転職エージェントを利用すれば年収アップが叶いやすくなるでしょう。以下は高年収の求人が多いと評判の転職エージェントです。

ランスタッド

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まとめ

年収3000万円の手取りは約1800万円です。税金等や高年収がゆえの経費など支出は多いものの、経済的に豊かな生活を送れる水準であることは間違いありません。会社員で年収3000万円を稼ぐのは相当に高いハードルがありますが、その可能性はゼロではないといえるでしょう。

参考文献一覧

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