確定申告が必要な人の条件7つと確定申告した方が節税になるケース

サラリーマンをやっていると、会社が年末調整を行ってくれますので、基本的に確定申告の必要はありません。

しかし、サラリーマンであっても給与以外の所得がある場合には確定申告が必要になるケースがありますし、控除やふるさと納税などの関係で確定申告した方が税金を下げられるケースもあります。

また、フリーランスや自営業者は今後は自分で確定申告を行っていく必要があります。

今回は、確定申告が必要な人についてのご説明と確定申告をした方が良いケース、確定申告に関する基礎知識などについてご説明します。

このコラムの目次
  1. 給与所得者意外で確定申告が必要な人の条件4つ
  2. 給与所得者で確定申告が必要な人の条件3つ
  3. 確定申告をした方が良いケース
  4. 確定申告をしなかった場合は追徴課税リスク
  5. 確定申告の目的や手続きに関する基礎知識
  6. 確定申告書の申告・提出方法
  7. 青色申告と白色申告の違い
  8. 確定申告での必要書類
  9. まとめ

給与所得者意外で確定申告が必要な人の条件4つ

早速ですが、確定申告が必要な人についてまとめてご説明します。

先にお伝えすると、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者は、会社が代わりに所得税の計算と納税を行ってくれていますので、確定申告が不必要な人がほとんどです。

ただし、一部の方は会社員でも確定申告が必要になるので、給与所得者については後述にてご説明します。

[box05 title=”確定申告が必要な人”]

  • フリーランスや自営業などの個人事業主
  • 不動産収入や株取引での所得がある人
  • 公的年金を受け取っている人
  • 一時所得がある人

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フリーランスや自営業などの個人事業主で48万円を超える所得がある人

まず確定申告が必要になる人が、フリーランスや自営業などの自分で事業所得を得ている人です。会社員の場合、年末調整によって確定申告と同等のことを会社が代わりに行ってくれていますが、個人事業主の場合、自分で申告・納税しなくてはなりません

ただ、所得税には48万円の基礎控除があります。もし年間所得が48年に満たない場合には、確定申告の必要性はありません。

基礎控除は、納税者本人の合計所得金額に応じてそれぞれ次のとおりとなります。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

※ 令和元年分以前の基礎控除の金額は、納税者本人の合計所得金額にかかわらず、一律38万円です。
参考:国税庁|No.1199 基礎控除

ただし、後述するように、赤字の場合でも確定申告した方が税金を抑えられるケースがあるため、自分で事業をしているのであれば、確定申告はした方が良いと言えるでしょうし、今後も事業を続けていく限り切っては切り離せない1年に一度のイベントになります。

不動産収入や株取引での所得がある人

サラリーマンの方でも、本業の傍らに不動産経営や株取引などを行っている方もいるでしょう。不動産収入や株取引での収入がある場合にも確定申告の必要があります。

こちらも所得税48万円の基礎控除が適用されますので、年間で48万円を超える所得を得ている方に限られます。

400万円以上の公的年金を受け取っている人

公的年金を受け取っている人は基本的に確定申告の必要はありません。ただし、年間400万円以上を受け取っている場合には確定申告の必要性が出てきます

ただ、かなり高額な受給額なので、よっぽどの方でもない限り該当はしてこないでしょう。

参考:国税庁|No.1600 公的年金等の課税関係

一時所得がある人

懸賞金や馬券が当たるなどして一時的な所得があった場合にも確定申告が必要になるケースが出てきます。

一時所得の場合、発生する所得税の額が、一時所得を得るためにかかった費用(たとえば馬券代など)と50万円の特別控除額の合計が超えている場合に必要になります。

一時所得の種類としては以下のものがあります。

  • 懸賞金
  • 謝礼金
  • 競馬や競輪などの払戻金
  • 民間保険の満期保険金 など

給与所得者で確定申告が必要な人の条件3つ

上記の人以外で、会社員として給与所得を受け取っている方は、基本的に確定申告の必要はありません。ただし、給与所得の額や副業での所得がある場合、複数の会社から給与を受け取っており、年末調整されていない所得がある場合には確定申告の必要性が出てくるケースがあります。

複数の会社から給与を受け取っていて、年末調整していない会社から20万円超の収入がある人

複数の会社から給料を受け取っている場合、収入が低い会社では年末調整がされない場合があり得ます。給与所得者でも年末調整されていない所得が20万円を超える場合、確定申告の必要性が出てきます。

(3) 給与を2か所以上から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整をされなかった給与の収入金額と、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)との合計額が20万円を超える
※給与所得の収入金額の合計額から、所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除及び基礎控除を除く。)を差し引いた残りの金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円以下の方は、申告は不要です。
引用元:国税庁|確定申告が必要な方

また、どちらの会社からも源泉徴収をされているケースも考えられるでしょう。その場合、納め過ぎていた税金が還付金として返還される場合があります。この場合も還付金申告と言って、納め過ぎている税金を取り返す申告をしないと返還されないので、自分で気付いて申告しなくてはなりません。

副業で20万円を超える所得がある人

会社員やアルバイトなどの給与所得者でも、何かしらの副業によって収入を得ている方も増えてきました。副業での収入は当然会社が年末調整してくれませんから、自分で確定申告する必要性があります。副業の場合も年間20万円を超える場合には確定申告が必要です。

給与の年間収入が2,000万円を超える人

高額所得者では適用されない控除が複数あり、会社で年末調整を受けることがなくなります。年末調整がされないということは自分で確定申告をしなくてはなりません。

この場合、本人も気付かず会社も放置することはないでしょうから、会社の方から何かしらの連絡がされたり、年収2,000万円を超えないような調整がされるかと思います。

  1. (1) 給与の収入金額が2,000万円を超える

参考:国税庁|確定申告が必要な方

確定申告をした方が良いケース

確定申告が必要な人に関しては主に上記の通りですが、他にも確定申告をした方が良い人はいます。ここまでの内容は、「税金を納めるための確定申告」でしたが、こちらでは

  1. 「納め過ぎた税金を返してもらう」
  2. 「税金を下げるための確定申告」

になり、結果的に自分に見返りがあります。

確定申告の手続きは確かに面倒ですが、数万円~数十万円の税金が変わるのであれば、ぜひ忘れずに確定申告してください。

年末に会社に属していなくて年末調整を受けていない人

確定申告の代わりに会社が年末調整をしてくれていると、度々お伝えしていますが、転職などで年末の時点でどこの会社にも属していなかった方は、年末調整がされていないと考えられます。

ただ、この場合、還付金として納め過ぎていた税金が返ってくる可能性が高いです。ここまでは納税のための確定申告でしたが、税金を取り戻すための確定申告(正確には還付金申告)もありますので、年末にどこの会社にも属していなかった方は、還付金申告を、前向きに検討しましょう。

赤字を出している事業主

個人事業主の場合、48万円以下であれば確定申告の必要がありませんが、赤字を申告することで翌年以降に繰り返しをすることができる場合があります(青色申告の場合)

また、個人事業主の場合は確定申告書の控えが収入を証明するものとなります。例えば新型コロナウイルス対策として給付されることとなった『持続化給付金』では基本的に確定申告の控えを提出しなくてはなりませんでした。

このように、確定申告書の控え提出を求められる場面が度々出てきますので、他に収入の証明ができない個人事業主の方は、所得の有無にかかわらず確定申告をしておいた方が良いです。

複数の会社から源泉徴収をされているパート・アルバイト

本業以外にパートやアルバイトをしており、源泉徴収されている場合、税金を多く納め過ぎていることが考えられます。この場合も確定申告することで納め過ぎた税金を返還してもらえる可能性があります。

1年で10万円を超える医療費がかかった人(家族)

1年で10万円以上の医療費がかかった場合、医療費控除を受けることができます。対象は本人以外にも生計を共にする配偶者や親族ですので、家族に対する医療費も計算に加えられます。

しかし、医療費控除は会社の年末調整では処理することができないので、自分で確定申告する必要があるのです。

初めて住宅ローン控除を受ける人

10年以上のローンを組んで住宅の新築や増築を行った場合には、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を受けることで節税することができます。ただし、住宅ローン控除を受けるためには、最初の年に自分で確定申告を行う必要が出てきます。

寄附やふるさと納税をした人

ふるさと納税をしている人が確定申告を行えば、ふるさと納税で寄附した金額から2,000円を引いた金額を所得から控除できます。ただ、ふるさと納税にはワンストップ特例制度がありますので、そちらを利用すればわざわざ確定申告の手順を踏む必要はありません。

確定申告をしなかった場合は追徴課税リスク

ここまでのご説明でご自身に確定申告が必要か不要かある程度判断できたかと思います。一度確定申告をした個人事業主であれば、毎年税務署から通知が届きますが、他の方は自分で気付いて自発的に確定申告をしなくてはならないでしょう。

節税に繋がったり、還付金があるようでしたら積極的に確定申告したくなる気持ちも出てきますが、納税のために自分で確定申告となると、あまりやる気も出ませんよね。

「ちょっとくらいいいだろう」と、確定申告の必要があるのに無視することを考える人がいるかもしれません。確定申告の必要がある人が確定申告をしないと、どのような影響が出てくるのでしょうか

後ほど発覚すると脱税になる

著名人の申告漏れや脱税など、度々税金を納めていなかったことが発覚したニュースを目にすることがあります。

話題性があったり、金額が大きいからニュースになるのですが、一般的の申告漏れに対しても税務署はきちんと調査しており、申告していない事実があれば、申告するように催促され、未納の税金を後から納めなくてはなりません。

ここで厄介なことが、発覚するまでに数年後程度の期間が空いてしまうことがあることです。発覚するまでも未納期間となり、後述する延滞税はどんどん加算されます

つまるところ、確定申告と納税の義務からは逃れることができませんので、必要がある人はきちんと確定申告をするようにしてください。

無申告加算税が加算される

確定申告をしていない人に対して、まず無申告加算税という税金が加えられます。こちらが確定申告をしないことに対する主なペナルティです。

無申告加算税では、本来納めるべきはずだった所得税に5~20%の金額が上乗せされることとなります。特に、税務調査により無申告が発覚した場合には15%以上の高い税額が加わるため、遅れてでも自発的に確定申告した方が自分のためにもなります。
参考:確定申告を忘れたとき|国税庁

延滞税が加算される

無申告加算税に加えて、納税が遅れた期間に応じて7.3~14.6%の延滞税が加わります。税率は無申告加算税ほど高額ではありませんが、未納期間が長ければ負担も大きくなりますので、早め早めに対処してください。

例えば、数年後に確定申告をしていないことが発覚した場合には、その年数分の延滞税が加算されますので、金額も大きくなってしまうでしょう。確定申告の必要の自覚がある人は早めに対処してください。
参考:延滞税について|国税庁

確定申告の目的や手続きに関する基礎知識

最後に、確定申告の必要がある人に向けて、確定申告について基本的に知っておくべき内容を簡単にご説明します。

確定申告の主な目的

確定申告とは、1年間の所得をまとめた上で所得に対する税金を計算し、国に納める税額を申告するための手続きです。

確定申告では、『確定申告書』と『収支内訳書』もしくは『青色決算書』に所得や売上などの情報をまとめて提出します。提出書類自体はそこまで多くありませんが、実際に経費を使ったことを証明するための領収書等やお金の流れが分かる帳簿の保管が義務付けられています。

  • ※所得=売上-必要経費

還付金申告も確定申告の1つ

上でもお伝えしたように、納め過ぎていた税金を取り返すための還付金申告も確定申告となります。

たとえ税金を納め過ぎていたとしても税務署側が親切に「納め過ぎている税金がありますので変換します」などと教えてくれることはなく、自分で還付金申告する必要があります。確定申告をした方が良い人はぜひ忘れずに確定申告(還付金申告)をしていきましょう。

確定申告の提出期限

確定申告を行う時期は2月16日から3月15日までとなっており、前年1月1日から12月31日までの1年分の所得を申告します。

確定申告の期限を過ぎただけでも、無申告加算税や延滞税が発生する可能性が出てきます。ただ、税務調査の結果に発覚する場合と自発的に遅れて確定申告をする場合では、税率が変わることもあります。

確定申告の必要がある人が期限を過ぎて申告することに良いことはありませんので、期限内に申告できるように前もって準備を進めていきましょう。

確定申告書の提出先

確定申告書の提出先は、申告者の住所を管轄する税務署です。税務署は全国都道府県にそれぞれ配置されており、大きめの市や区には必ず1つか2つの税務署がありますので、そちらに提出を行います。
参考:税務署の所在地などを知りたい方|国税庁

確定申告書の申告・提出方法

特に新型コロナウイルス感染防止のために、近年ではわざわざ人が多くなり得る確定申告時期の税務署に行くのではなく、郵送や電子申告で対応した方が手っ取り早く感染リスクも抑えることができるでしょう。

初めて確定申告をする人は分からないことも多く、直接税務署に持って行き税務職員に質問できる方法が良いでしょうが、確定申告に慣れてきている方は遠隔で提出できる方法も検討していきましょう。

税務署に直接持って行く

ただし、確定申告の期限である3月15日の週には税務署が非常に混み入ることが予想されます。税務署の外にまで並ぶことになり、数時間後にやっと申告書を提出できるだけで、とても質問できるような雰囲気でないことも往々にしてあります。

税務署に直接提出しに行く方は、なるべく確定申告の時期の前半である2月までに提出を目指すとスムーズに行きやすいです。

確定申告書等を郵送する

確定申告書の提出は、郵送でも可能です。確定申告書に必要な書類と控えを封筒に入れ、後ほど控えを返送してもらうことで確定申告が完了します。

所得税の納付は、国税クレジットカードお支払いサイトやQRコードで作成したものを印刷し、コンビニで納付することも可能です。

ちなみに、郵便局が受け取った日付が提出日となりますので、3月15日ギリギリに提出したとしても申告は間に合います。

電子申告(e-Tax)の利用

確定申告はe-Taxという電子申告システムを使っての申告も可能です。確定申告について一通りの理解を得ている方には、一番おすすめの申告方法です。

特に2021年の確定申告からは、青色申告65万円控除を受けるためには電子申告が必要となりました。以前のe-Taxは少し使いづらい印象があったのですが、e-Taxでの申告が強く推奨されてき続けたこともはり、今では非常に使いやすいシステムになっています。

納税までそのままできてしまうので、非常におすすめです。

青色申告と白色申告の違い

ご存知の方が多いでしょうが、確定申告には『青色申告』と『白色申告』があります。言葉自体は知っていても、実際にどのように違うかが分からない方も多いでしょう

青色申告とは

青色申告は、確定申告の難しい方の申告方法です。必要となる帳簿の種類も増え、青色決算書でもより詳細まで記入する必要があります。

その代わり、青色申告特別控除を受けることができ、最大で65万円の控除が増えます。他にも、家族を青色専従者として経費扱いで給与を支払えたり、赤字を繰り越すなどの恩恵を受けることができます。

ただし、青色申告にするためには事前申請が必要で、確定申告をする前年の3月15日までか、新規開業の場合には開業日から2ヶ月以内に『青色申告承認申請書』を提出しておく必要があります。

白色申告とは

白色申告とは、ざっくり言うと簡単な方の確定申告です。ただ、白色申告でも帳簿作成の義務はありますし、提出する確定申告書そのものは青色申告と変わりません。

初めて確定申告をする人や一時的な収入で確定申告をすることになった人は、白色申告で十分ですが、フリーランスや自営業として今後も事業所得があり続ける方は、いずれ青色申告に切り替えていった方が良いでしょう。

確定申告での必要書類

確定申告と言うと、非常にややこしいイメージを持たれている方も多いと思いますが、提出する書類自体は至ってシンプルです。

数種類の紙にまとめて記入して、ファイルにまとめて提出すればよいだけです。提出書類が分厚い冊子になるようなことはありません。

ただし、事業所得や不動産所得がある方は、帳簿を作成して保管しておく義務と、領収書等の経費を使ったことを証明しておく書類の保管が義務付けられています。

青色申告の場合

  • 確定申告書AもしくはB
  • 青色決算書
  • 添付書類

白色申告の場合

  • 確定申告書AもしくはB
  • 収支内訳書
  • 添付書類

確定申告書Aと確定申告書Bの違い

確定申告書には『A』と『B』があります。簡単に言うと、Aは会社員やアルバイトなどの給与所得者が使う用紙で、退職後や一時所得があった時の確定申告に使う用紙です。

それに対してBは自営業者や不動産のオーナーなど、継続的に給与所得以外を得ている人向けの用紙で、Aに比べると記入項目が少し増えます。

まとめ

今回は、確定申告が必要な人・確定申告をすると節税や還付金を受け取れる人についてご説明しました。主な特徴をまとめると以下の通りです。

確定申告の必要がある人 確定申告するとお得になる人
l  個人事業主l  不動産収入や株取引での所得がある人
l  公的年金を受け取っている人
l  一時所得がある人l  年収2,000万円を超える給与所得者
l  年末調整していない所得が20万円を超える人
l  転職等で年末調整していない人
l  赤字がある事業主l  複数から源泉徴収を受けている人
l  1年で10万円以上の医療費がかかった
l  初めて住宅ローン控除を受ける人
l  ふるさと納税や寄付をした人

 

確定申告の必要がある人がそのまま確定申告をしないと、納税義務を守らないおそれがあり、後からペナルティを課せられた税金を納めなくてはならないことが起こり得ます。

特に会社員やパート・アルバイトの方は、基本的に会社が年末調整を行ってくれて、本人の確定申告の必要が無いため、なじみがない手続きだと思います。

確定申告に関しての不安がある方は、税理士や会社の労務担当者に相談してみると良いでしょう。

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